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【2】250トン吊り能力級の起重機船
上記中型クラスの起重機船をメインターゲットとしながらも、海洋土木工事における消波ブロックの大型化や難工事化という動向も予見されるため、作業船の大型化、特に起重機船の吊り能力の大型化ニーズという動向があることも明らかである。また、一般に大型船は作業効率が高い(従来の運搬船十クレーン付台船というセットが1隻で済む。作業半径が長く、台船の位置を頻繁に変更せずに作業できる等による)と考えられる。従って、現時点では一律に作業船が大型化するという動向は顕在化しないと考えられるが、今後のことを見据えた上で、将来的には上記の中型起重機船新造の実績を積み上げ、海洋上木事業者からの信頼関係を構築し、そうした大型起重機船新造を射程距離に捉えるべきであると考えられる。
【3】修繕工事の取り込み強化
新造に対し、修繕に関しては現状でもほとんどの海洋土木事業者が、道内造船所での修繕を行っている。また、前掲の海洋土木事業者アンケートの部分でも指摘したように、道内造船所に対する修繕面での様々な要望はあるものの、今後も道内での修繕を前向きに考えているという業者が大部分を占めた。従って、今後も道内造船所としては」定規模の修繕工事を見込めるものと考えられる。今後の課題としては、そうした海洋土木事業者の声に安心するのではなく、道内造船所としては、中型クラスの起重機船建造をターゲットと見込むことを勘案し、修繕工事に当たっても修繕船の技術面あるいは設計面、搭載機器の面など、問題意識を持って修繕に取り組むことにより作業船に関する技術力並びに情報力の向上を図っていく必要がある。
また、作業船の上架修繕サイクルについては、海洋土木事業者のヒアリングによると3〜5年程度との意見が多かった。さらに、修繕についてのアンケート結果では、約30%程度は海洋士木事業者が自賄で工事をしていることが把握できた。従って今後については、海洋土木事業者の修繕計画の把握や自賄工事の造船所取り込みを図るための営業や情報収集の取り組みが図られるべきであろう。
また、海洋土木事業者からのヒアリングから、今後の作業船修繕に係る直接的なニーズとして、大型作業船に関しても遠隔地まで回航しなくても近場で上架・修繕できることを望む声が多かったことは指摘したとおりである。新たな設備投資の必要性などから、直ぐに造船所として取り組める課題ではないが、こうしたニーズが根強く存在していることを把握しておく必要があるであろう。

 

 

 

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